エルメスという会社を調べていて、興味深いことに気づいた。
全社員のかなりの割合が生産に携わり、皮革製品は100%フランスで作られている。エルメスは現在もフランス各地に皮革工房を新設し、一つの工房で約250人の職人を採用・育成している。《ケリー》バッグは40点あまりの革のパーツからできている。皮革職人は、組み立て、縫製、仕上げなど一連の工程を習得する。なかでも象徴的なのが、一本の糸の両端に二本の針を通し、一針一針交差させて縫う「サドルステッチ」である。
機械では代替できず、長い時間をかけて身につける技術だという。私もレザークラフトが好きで、補修程度ではあるが革に針を通すことがある。やってみると、これがかなり難しい。縫い目の間隔、糸の締まり方、直線の美しさ。ほんの数ミリの違いにも技量の差がはっきりと現れる。まさに、一針一針に手を抜けない仕事である。
そんなエルメスの公式サイト「エルメス・イン・ザ・メイキング」に、非常に印象に残る言葉があった。
「『時』はエルメスの友」
英語ではさらに端的に、“Time, our ally.”と表現されている。
エルメスはそこで、ものづくりは「簡略化・効率化とは一切無縁」であり、職人は決して近道をせず、何年もの修業を経て技術を身につける、と説明している。そして製品は、長く使われ、修理され、世代を超えて受け継がれることを前提に作られている。速くすること、手間を省くことだけが進歩ではない。
この考え方には、メタル便の仕事にも通じるものがある。メタル便の混載輸送では、一つの商品を集荷してから届けるまでに、何度も積み替えを行う。
積む。
降ろす。
伝票と照合する。
荷姿を確認する。
固縛する。
雨が降ればシートを掛ける。
中継輸送はこの繰り返しである。
一つ一つは地味な作業である。しかし、どこか一つで「これくらい大丈夫だろう」と手間を省けば、それが何千件、何万件と積み重なったとき、確率の問題として必ず誤配や物損につながっていく。だから私たちの仕事では、手間を省くことではなく、必要な手間をきちんと掛けることが、品質を高める。
長尺物、重量物、異形物には、それぞれ積み方がある。固縛の仕方がある。雨への備えがあり、荷降ろしの順序がある。マニュアルだけでは伝えきれない知恵も多い。
エルメスが職人を育て、その技術を次の世代へ受け継いでいるように、メタル便もまた、「安全に、傷つけず、確実に運ぶ技」を持った人たちによって成り立っている。
効率化、DX、AIの時代だからこそ、機械に任せるべきことは機械に任せればいい。しかし、人が手間を掛けることでしか守れない品質まで、省いてはいけない。エルメスは「時」を友と呼ぶ。メタル便にとっても、時間と手間は必ずしも敵ではない。良い仕事に必要な手間を惜しまない。その技を次の人へ残していく。時代に逆行しているように見えて、実はそれこそが、長く続く会社の条件なのかもしれない。
毎月、WEBコンサルタントの中尾豊さんとネットで、メタル便ホームページ改善の定期ミーティングを実施している。半年位前から中尾さんから「メタル便のHPは異常値だ」と毎回言われるようになった。
その理由がアクセス解析から
1)指名検索の流入先が一位Being、二位google、三位yohooの順で、BtoBビジネスの理想で、中尾さんが関わっている企業の中ではBeingが一番に来ている会社は他に無いという。Beingの利用者はセキュリティ上で大企業の利用が多い。
2)Webサイトの訪問者のうち、商品購入や資料請求などの目標(コンバージョン)を達成したCRV(コンバージョン率)が10%を超えている。通常では5%を超えると優良と言われる中、多い時は13%にも達する。
3)ホームページの滞在時間が、一般数値より長い。
その結果がお客様からのお問い合わせ件数が毎年多くなっている。2025年度はネットからのお見積りが2500件を超える。メタル便は一般的に知名度がない企業だが、その結果から推測すると物流2030年問題で「混載」の市場が拡大しているのかもしれない。
早稲田大学・蓮池ゼミ(数理最適化)の学生による「Logistics Frontier Interviews」(以下、LFI)が始動。物流の第一線で活躍してきた方々を取材し、その音声アーカイブをインターネットで配信するとともに、学術研究にも活用していく活動です。
https://waseda-logistics-web.vercel.app/pages/index.html
日本の物流業界の発展のために、大学生に物流への関心を持ってもらう活動に取り組みたいと考えていました。また、尊敬する物流界の諸先輩方の生きざまを記録として残したいという思いもあり、LFIにメタル便が後援、私もアドバイザーとして参画させていただくことになりました。
記念すべき第1回の取材は、セイノーロジックスの創業者であり、西濃運輸取締役、西濃シェンカー副社長などを歴任された渡辺景吾さんです。海外企業で培った経験を生かし、LCL(海上コンテナの国際混載事業)の先駆者として、その仕組みを日本企業であるセイノーロジックスに根づかせた功績は、非常に大きなものです。渡辺さんは、単に利益を追い求めるのではなく、ご自身が抱く物流へのロマンを、挑戦者としてLCL事業に結実させた方です。私にとって、世の中の一歩先を照らす「灯台」のような存在です。 梶
最近の傾向なのだろうか。日本を代表する企業であっても、若者の仕事に情熱や誠意が感じられない場面がある。ある自動車メーカーの販社では、若い担当者が全く仕事をこなせない。言い訳が多く、新車の見積りが出るまでに1年を要し、修理の問い合わせも二度三度と催促してようやく返答がある。上司にクレームを伝えても、部下をかばうあまり感情的な対応をされた。また、青い飲料自販機の販社でも、営業担当は話を聞かず一方的に自社の都合を押し付けてくる。交渉は難しいと判断し、業界一位の赤い自販機へ切り替えた。自宅の火災保険の切り替えでは、家内が電話対応の段取りの悪さに立腹したが、上司へのクレームではなく、別の保険会社への切り替えをアドバイスした。このような人たちを、いわゆるZ世代と呼ぶのだろうか。
「静かな退職」という言葉がある。これは退職ではなく、最低限の業務にとどめ、仕事への過度な関与を避け、ワークライフバランスを重視する働き方を指す。英語では「Quiet Quitting」と呼ばれ、Zaid KhanがTikTokで発信したことをきっかけに広まったとされる。先の三つの事例も、この働き方と捉えれば理解できなくもない。しかし、仕事への関与を抑え、ワークライフバランスを優先する姿勢は、私には「現実逃避」に映る。人の価値は、困難な局面で踏ん張れるかどうかで形づくられる。その経験の積み重ねこそが重要ではないだろうか。
私は私立中学受験で第一志望に合格できなかった。合格発表の掲示板を前に、受験番号のわずかな違いが結果を分ける現実を知った。一見すれば数字一つの差だが、その背後には努力の積み重ねの差があったと思う。恩師の高島陽先生は「仕事と結婚は好き嫌いでしっかり選べ」と教えてくださった。もっとも、仕事は続けるうちに好きになることもある。私自身、卒業当時は運送会社の経営に携わるとは思っておらず、最初の二十年はつまらないと感じていたかもしれない。それでも課題に向き合い踏ん張る中で、メタル便に出会いいつしか仕事が趣味になっていた。「静かな退職」を理由に仕事への関与を弱める働き方は、やはり私には「現実逃避」に見える。それは仕事に限らず、趣味や家庭生活においても現実逃避してないだろうか。
メタル便には23年間お願いしている福井県在住の宗倉さんという、ほぼ専属デザイナーがいる。サービスのゴロ、車両デザイン、フライヤー、広告紙面、毎年リニューアルするユニフォーム、プロモーションビデオもプロディユースなど多岐に渡る。運送会社は働く人がカッコ良くなければならない。その時のトラックとユニフォームの統一感はとても大切。今年その宗倉さんが還暦を迎えて、サプライズの還暦祝いを釜山で実施、日本全国かからメタル便の経営者や幹部が釜山に集まる。写真はサプライズ前日の集合写真。釜山でのサプライズを成功する為に有志で福井に行き還暦祝いを実施して、釜山での警戒を解く手の込みよう。当日は、お揃いのTシャツでお祝いをする。プリントのデザインは、23年間の宗倉さんのメタル便グループへのデザインコレクションにする。
こうして23年のデザインを振り返ると、やはりデザインの力は大きい。特に現場がある職種ではとても重要だと実感する。
2023年と2024年と鉄鋼の荷量が2年連続で前年比10%割れ。原因の一つとして働き方改革による職人の労働時間短縮のため建築工事が土日休みで完成が遅れ、新規物件に至っては3年~5年先と聞く。
一方でメタル便グループで2024年以降は毎月10~15%は売上が伸び続けている。他の運送会社は暇なのにオーダーがあふれ多忙が連日止まらない。メタル便が鉄鋼業界で定着し躍進したのは実はリーマンショックだった。
「困った時のメタル便」との声も聞こえてくる。
鉄道マニアの知人から、メタル便JRコンテナのミニゲージが3月に販売されることを聞かされた。写真で見く限りかなり細部まで復元されている。
関東⇔北海道のJR貨物用に使用されたメタル便の専用コンテナで、鉄道コンテナマニアの間ではレアものとして注目されていた、年月を経て今回ミニゲージとしての登場となる。運行し始めた時、このコンテナの詳細を聞くため鉄道マニアの方が3名来社されたこともあった。一人は鉄道関係の雑誌の記者と営団地下鉄の社員の方もいた。
鉄鋼新聞の3面に4段1/4サイズの広告を8月より月2回出すことにした。
メタル便のPRに留まらず、鉄鋼関連のお客様にお役立ちの情報欄に活用させてもらおうと思う。第1回目は「メタル便24年の挑戦」として共同配送・モーダルシフト・ラストワンマイル・中継輸送の取り組みの歴史を平ボディ台数の変遷と共に見える化して、加えて国交省の2件の認定事業と低炭素ミエコの実証実験を直近のトピックとして入れた。
メタル便関西の吉田社長は走高跳の競技に例えて、バーを数センチづつ上げて飛び続けてもある日限界に近づく時がくると。それ以上に飛ぼうとすると、工夫が必要になってくる、それが棒を上手に使いこなす棒高跳びだと。メタル便にとって棒高跳びの棒を持った瞬間は2016年以降で東名阪から全国にパートナーを求め一挙に全国展開に切り替えた。
浦安→名古屋・大阪の長距離輸送
8㌧まで共同配送で
コスト増加抑制+納期確定+低炭素輸送
物流2024年問題勉強会at仙台では、メタル便浦安の梶とメタル便北海道(丸吉ロジ)の吉谷社長の2人がそれぞれ30分で講演したが、主催者ではあるが吉谷社長の話に大変感動した。経済産業省・国土交通省・農林水産省が進める「総合物流施策体網」の正に模範となる取組みを紹介した。具体的には丸吉ロジが現在取り組んでいる10項目、海上フェリーシャーシや鉄道コンテナによるモーダルシフト、トレーラーのアコーディオンシャーシの導入による時短、荷主と共に2024年問題解決に取組む物流協議会、運送と倉庫の連携など、それぞれがチャレンジャブルで独創性がある。
アコーディオンシャーシは通常1時間のシート掛け作業をを5分に短縮する画期的なモノ。丸吉ロジのトレーラー1台の時短だけでなく、その積込み場に待つ他の運送会社のトラックの待機時間が全て短くなり、出庫ゲート作業の短縮は荷主にとっても倉庫稼働率に大きなメリットになる。話を聞いて丸吉ロジが2024年の模範的な物流改善の実現は今年からの努力ではなく、吉谷社長が社長就任以来、十数年かけ取り組んできた「労働生産性向上」がいま開花しているということ。メタル便としてこの様な実践事例が紹介できること誇らしくも感じた。