京都東山に真々庵という庵がある。知人の特別な計らいで見学させていただいた。
「真々庵は昭和36年に松下幸之助さんが社長を退任して会長に就任したのを機に、一時中断していたPHPの研究活動を再開するために求めた別宅。昭和55年に松下電器の施設となり全面改築、名称も松下真々庵とし、当時と同じ状態に庭園・建物を整備保存し迎賓機能を果たしている。」「庭園は7代目小川治兵衛(庭治)の明治42年の作で、東山を借景」庭園を維持するため、一般公開はされていない。
松下さんはモノにはこだわらなかったという。庭の大改造にあたり庭師に「寸鉄おびずして敵を制するような庭にしたい」を語ったという。銘木や高額の庭石にはこだわりがなく、総合力で庭園の価値を評価した。成功した証に、高級品を集めてモノにおぼれてしまうヒトが多いなか、松下の晩年はPHP研究所と松下政経塾に情熱を注いだ。
真々庵は日本の心を伝えるでけでなく、宇宙万物を司る場所として残されている。庭園の奥の茶室の横には「根源社」と名づけられた社(やしろ)があり、来庵すると必ず社の前で静かに手を合わせ生かされていることの感謝したと言う。松下さんが重大な決断をする時は、社の前で座りこんで考え事をしたそうだ。「素直に」の原点回帰の場だ。 カジ