30日の夕方、事務所内で宮内君のオタケビ声が上がった。
1月31日のメタル便の受注が一段落し、1月の運送売上が確定したからだ。1月は休日が多く稼働日が18日しかないのに、23日と稼働日の多いあの超忙しかった10月と売上で肩を並べた。運送会社は商品販売と異なり、サービスの在庫が出来ない、手持ちの車輌にその日の仕事を詰め込むしか売上を上げる方法はない。前年同月比でも30%アップということも驚異的だ。鋼材の積み合せは絶好調である。
宮内君の喜びの声やガッツポーズを見て、私は中学受験を発表日当日を思い出した。合格発表を見て歓喜する人を横目に、私の受験番号は掲示板には無かった。張り出された合格者の数字、たったわずかな数字の違いなのに、天国と地獄ほどの差がある。その背景には毎日の努力の蓄積があるからこそ喜べるのである。メタル便のこの数字の裏には、事務所スタッフやドライバーの相当な努力があったことは、まぎれも無い事実である。